処理施設を避難拠点に 大津波想定


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 那覇市と南風原町のごみ焼却場「那覇・南風原クリーンセンター」(南風原町新川)などを運営する那覇市・南風原町環境施設組合(管理者・翁長雄志那覇市長)は1日までに、同センターや隣接する多機能複合施設「環境の杜ふれあい」を災害時の電力供給、一時避難の拠点として位置付け、整備することを決めた。

四方を海に囲まれた沖縄にあって、内陸部の高台に位置し、発電設備を持つ同センターの利点を生かす。
 同組合の宮城哲哉事務局長は「ごみ処理施設を避難拠点にするのは珍しい。施設の機能をフル活用し、災害時に地域へ貢献したい」と話している。
 同事業は昨年の東日本大震災級の津波が本島に押し寄せた場合を想定したもの。県内の発電所は沿岸部に集中しており、大津波が押し寄せた際に電力供給が止まる懸念がある。
 同センターは標高102メートルの位置に立つ。設備は震度7程度の揺れにも耐えるなど、地震や津波に強い条件を併せ持ち、避難できる広場やごみ燃焼を利用した発電設備もある。「環境の杜ふれあい」も体育館や浴室、調理可能な施設などを併設しており、ともに一時避難の拠点として活用する。
 同組合は「緊急時にこれほど多くの避難者を収容し、快適に過ごせる所はないのではないか」と特徴を語る。
 さらに電気自動車(EV)2台と、同センターで発電した電気をEVに充電する「急速充電器」も整備する。EVは蓄えた電気を外部に供給する機能があり、大規模災害で停電が発生した場合、EVが各避難所に移動し、光熱用や緊急連絡用携帯電話、医療に使う電子カルテ用パソコンの電源などとして幅広く活用する考えだ。災害時には急速充電器を一般のEVにも開放する。
 施設内の電灯も発光ダイオード(LED)照明に入れ替えて省エネ化を図り、災害時に供給可能な電力量を拡大する考えだ。宮城事務局長は「ごみ処理施設は迷惑施設として見られることもある。大規模災害時に重大な役割を担い、地域から評価され、イメージアップにつながればいい」と期待を込めた。
(知念征尚)

災害時の電力供給、一時避難の拠点として整備される「那覇・南風原クリーンセンター」(上)と「環境の杜ふれあい」(下)=南風原町新川
那覇・南風原クリーンセンター内に設置された発電機=南風原町新川の同センター