無線LAN整備へ 「国際的観光地」目指す


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那覇市が提供予定の無料の公衆無線LANエリア

 那覇市(翁長雄志市長)はスマートフォン(多機能携帯電話)などからの情報収集に便利な無料の公衆無線LANを、2013年から国際通りなど市内の主な観光地に整備する。

多言語に対応する観光客向けホームページ(HP)も開設し観光客への情報提供を強化、沖縄観光の魅力向上につなげたい考えだ。12年度内に試験運用する。国内では既に京都市や福岡市などが公衆無線LANサービスを展開している。東アジアでもソウルや台北、香港、上海など観光客の多い都市では公衆無線LANの整備が急速に進んでいる。
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 観光庁が外国人観光客を対象にした11年の調査では、「旅行中困ったこと」で1番多かったのは「無料公衆無線LANがない」ことだったという。市は無料の公衆無線LANの整備で、観光客への情報発信強化を図り、国内観光客だけでなく外国人観光客の利便性を向上させ、国際的な観光地化につなげたい考えだ。
 那覇市では「ナハ・シティ・ワイファイ」と銘打ち、市内約120カ所に無線LANのアクセスポイントを整備する計画。那覇空港やとまりんなどのほか、国際通り周辺、龍潭通りと首里城、那覇港大型旅客船バースから久茂地交差点など、面的に整備。移動しながらの利用も可能にする。エリアをさらに拡大することも検討しており、市は「サービスエリアは日本一になるのではないか」としている。
 また現実の風景にデジタル情報を付け加える拡張現実(AR)技術を活用した街中でのメッセージ発信や、災害時の情報発信への活用も検討している。
 市観光協会の中村政人事務局長は無線LAN整備で「外国人観光客が自ら情報収集し、自由に行きたい所に行けるようになれば、沖縄観光の評価も高まる。外国人観光客受け入れの大きな弾みになる」と期待を寄せた。(知念征尚)

<用語>公衆無線LAN
 無線通信を利用し、対応する端末を空港やファストフード店など街中に設置されたアクセスポイントに接続することで、自宅や会社にいるのと同じような高速大容量によるインターネット接続を可能にするサービス。近年、スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット型端末の普及により、公衆無線LANを活用できる機器が急速に増えている。