ろう学生らが交流集会 沖縄支部再始動へ


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聴覚障がいのある当事者共通の悩みや課題などについて、交流集会でざっくばらんに議論し合う学生ら=5日、那覇市の沖縄大学

 県内の聴覚障がいのある学生らが親睦を深める交流集会が5日、那覇市の沖縄大学で開かれた。ろう学生らによる交流会は県内で初めて。全日本ろう学生懇談会(全コン)事務局が休眠状態の沖縄支部を支援しようと開催した。

 健聴者も含め約30人が参加し、当事者共通の悩みや課題などについてざっくばらんに議論。交流を通して、情報を交換、共有する意義をあらためて確認した。参加者らは沖縄支部を再始動させ、集会を継続することで交流の輪を広げていく考えだ。
 ろう学生の孤立防止などを目的に、全コンの各支部は集会を開くなどして活動しているが、沖縄支部の会員は平良悟子さん(沖縄大3年)一人だけ。十分な活動ができず、休眠状態という。
 「当事者にしか分からないこともある。それを共有できるようにしたい」。平良さんは思いを募らせ、全コンに協力を依頼したことをきっかけに、集会が実現する運びとなった。
 集会では、講義などの音声情報を要約筆記などの代替手段で得る「情報保障」について県内外の学生が発表した。
 県内からは山城佳南海(かなみ)さん(沖国大1年)と平良さんが報告。山城さんは要約筆記の支援を受けているが、教室が満室で支援が受けられなかった経験を話した。平良さんは情報保障に無線マイクを使うため、説明書を作成して大学入学時に教員一人一人に配布し理解を求めた体験談を紹介した。
 自由討論では、健聴者とろう学生との交流など、さまざまなテーマについて情報や意見を交わした。
 学生らに進学の相談をしていた前里華奈子さん(沖縄工業高1年)は「情報保障など進学する上で参考になることがあった。もっと多くの人のいろんな考えや意見を聞いてみたい」と話し、集会の継続を求めた。
 集会を支援するために来県した全コン副会長の稲川直樹さん(東京都市大4年)は「沖縄のろう学生とパイプをつくることができた。沖縄支部の復活も期待できる充実した内容だった」と満足そうに語った。
 平良さんは「みんなとてもいい表情をしていた。集会を開いてよかった」と笑顔。「これをきっかけに集会を継続できるような体制を沖縄でつくりたい」と話し、沖縄支部の再始動へ意欲を見せた。