与那国・比川、厳かに「ンディマチリ」 婚姻、子孫繁栄願う


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
巻き踊りで子孫繁栄を願う比川地区住民=12月28日、与那国町比川地区

 【与那国】与那国町比川地区で12月28日、子孫繁栄を願う祭事「ンディマチリ」が行われた。島内で最も神々しい祭事である「ムラマチリ」は島内各地で行われ、比川地区で行うものを「ンディマチリ」と言う。

 「ムラマチリ」はカンヌティ(神の月)に入ったことを意味する旧暦10月以降の最初の庚申(かのえさる)の日(12月25日)に、「クブラマチリ」(久部良地区)を初めに25日間のマチリの期間に入る。「ウラ」(東地区)、「ンディ」(比川地区)、「ンマガナ」(島仲地区)、「ンダン」(西地区)と各自治公民館のマチリが続き、それぞれで厳かに祈願する。
 島内ではこの期間の四つ足動物の殺生が禁じられており、公民館役員や祭事に関わる人たちは獣肉を食べてはならない決まり事もある。
 ンディマチリは同日午前中に比川地区南側に位置する拝所で司が神を下ろし、泊家で祈願と祝賀会が開かれた。
 各地区によって祈願の内容が異なり、ンディマチリでは嫁取り婿取り、子孫繁栄を祈願する。祝賀会ではそれを意味する「アカサダイ」という儀式の中で、リアルな男女関係のうわさ話を面白おかしく方言やアドリブで表現する「キングイ」(狂言)が役員によって披露された。最後に「ドゥンタ」(巻き踊り)で締めくくられた。(東濱リエ通信員)