「カキ養殖の父」碑再び 震災津波で破壊


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 【大宜味】大宜味村根路銘出身で「カキ養殖の父」「世界のカキ王」と呼ばれた故宮城新昌氏の功績をたたえ、宮城県石巻市に建立された顕彰碑が東日本大震災の大津波で破壊されたため、同村は「再建委員会」を発足させた。

同村挙げて顕彰碑再建に取り組む。関係者は「復興の手助けをしたい」と思いを込めた。
 宮城さん(1884―1967年)は県立国頭農学校卒業後、北米でカキの養殖技術を学んだ。帰国後は親族らとともに石巻市の荻浜湾、万石浦などで大規模養殖場を経営。ロープにカキを結ぶ「垂下式養殖法」を発明し、生産量を飛躍的に増やすことに成功した。
 これらの功績を刻んだ顕彰碑が79年、石巻市荻浜漁港に建てられた。だが大津波にさらわれ、碑が真っ二つに割れているのが2011年7月ごろ見つかった。
 荻浜でカキ漁を営む宮城県漁業協同組合の伏見眞司代表監事は、破壊された顕彰碑は災害モニュメントとして残し“復興のシンボル”として顕彰碑を新設しようと、昨年「顕彰碑再建委員会」を立ち上げた。「家も船も失った。まだまだ復興の途中だが、はい上がるためにも再建したい」と思いを語った。宮城さんの親族で、かつて宮城県に住んでいた宮城健隆根路銘区長らの仲介で、同村に再建援助を要請した。
 大宜味村は昨年12月、島袋義久村長らを共同代表とする「宮城新昌氏・宮城一族の功績をたたえる顕彰碑建立を推進する大宜味村委員会」を設立。事務局の山城清臣副村長は「宮城の人々に負担は強いられない。ぜひ協力したい」と熱く語る。
 同委員会は今後、500万円を目標に寄付を募り、ことし9月の再建工事開始を目指す。今月19、20日の村産業まつりでは、宮城氏の次女で食生活ジャーナリストの岸朝子さんらによるパネルディスカッションなどを計画し、活動を広げる。
 寄付などの問い合わせは同委員会事務局の稲福元子さん(電話)080(6494)8220。
 (写真は全て「顕彰碑建立を推進する大宜味村委員会」からの提供)

※注:宮城健隆根路銘区長の「隆」は、「生」の上に「一」

英文へ→Monument honoring Shinjo Miyagi – father of the cultured oyster – to be restored

大津波で破壊された「カキ養殖の父」宮城新昌氏の顕彰碑=宮城県石巻市の荻浜漁港前
宮城新昌さん
壊れる前の「カキ養殖の父」宮城新昌氏の顕彰碑