ALS患者、ヘルパー派遣 入院時もOK 西原町が県内初


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【西原】西原町は全身の筋肉が動かなくなる難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者が、入院時に意思伝達の補助を目的としたヘルパー派遣の利用を可能にする「重度障害者等入院時コミュニケーション支援事業」を、昨年6月から県内市町村で初めて開始した。

町在住ALS患者家族らからの要望を受けて事業化した。今帰仁村でも同様の事業を昨年7月に開始し、大宜味村でも今春から始まる予定で、関係者らは「支援が他市町村にも広がってほしい」と期待している。
 日本ALS協会県支部によると、県内のALS患者は100人ほど。そのうち人工呼吸器を装着する患者は30人ほどいるという。2011年6月以前の保険診療では、入院患者の介護は看護師が行うことが決められ、入院中は利用者負担でもヘルパー派遣を利用できなかった。同年7月、厚生労働省がこれを見直し、市町村の判断で重度ALS患者と、医師や看護師間の意思伝達補助のみを目的としたヘルパー派遣を支援事業として実施できるようになった。
 コミュニケーションを取るのが困難な重度ALS患者にとって、意思疎通できる介護者は、接する機会が多い家族やヘルパーに限られる。病状の悪化などで入院した際にヘルパーを利用できず、介護する家族の負担が在宅介護時より増すケースが多くなっていた。
 西原町在住のALS患者家族は、入院中の介護による過労で体調を崩した経験から、日本ALS協会県支部や難病患者を支援するNPO法人アンビシャスの役員らとともに、町へ支援事業の実施を求めていた。
 町は介護支援課を中心に「家族の厳しい現状がうかがえ、できる限り迅速に行う必要性を感じた」と約2カ月で事業化。1日最大4時間までヘルパー派遣を利用できるようにし、患者の費用負担を1割にした。患者家族は「入院時もヘルパーが利用でき、安心して休めた。町は本当に親身になってくれた」と感謝した。