創作を力に病と闘う 上元さん 水彩画、5回目個展


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「光」と題した自信作の前で笑顔を見せる上元守夫さん(右)と妻の吉子さん=9日、うるま市みどり町のローズの香ギャラリー

 【うるま】「絵を描くことが生きる力になる」―。がん闘病中の上元守夫さん(67)=うるま市=の5回目となる水彩画展が、市みどり町のローズの香ギャラリーで開かれている。入場無料。30日まで。

 上元さんが水彩画を始めたのは、59歳の時に直腸がんと告知されたことがきっかけだった。酒が好きで、ゴルフや囲碁など「趣味ざんまいの日々だった」(上元さん)が、がん治療が始まるとそれらを楽しむことができなくなった。
 抗がん剤投与で、精神的、肉体的につらい状況で心のよりどころとなったのが水彩画だった。ほぼ独学で、水のにじみや塩などを使い、柔らかく優しい印象を与える独自の画風を生み出した。
 個展は、うるま市の風景や花などを描いた31点を展示している。上元さんは「自然と幼いころの風景を追い求めているのかもしれない」と笑う。
 妻の吉子さん(71)は「絵を描き始めて、夫は粘り強くなった。そばで見ていてもつらい治療でも、弱音を吐かずに頑張っている」と目を潤ませ、誇らしげに語った。
 現在も2週間に1度は抗がん剤治療を続ける上元さん。昨年末には、体調を崩して死をも覚悟したという。そんな状況を乗り越え、吉子さんと一緒に絵の題名や配置を決め、開催にこぎ着けた。
 来場者から「来年の個展も必ず来ます」と声を掛けられ、笑顔で応対した上元さんは「自分にとっては絵を描くことが生きる力」と力を込めた。水彩画展は、午前10時~午後8時まで。木曜は定休日。問い合わせは同ギャラリー(電話)098(972)7300。
(銘苅つばき)