県警察学校で空手 全国初、講師に全日本準V教官


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 伝統の技と心で県民の安全安心な暮らしを守ります―。県警(村田隆本部長)は今月から、警察学校に入校する女性警官を含む全初任科生を対象とした「沖縄伝統空手」の授業を始めた。

柔道や剣道が一般的だが、空手を警察学校の授業として導入するのは全国で初めて。空手発祥の地・沖縄で県民を守る警察官の卵たちが、空手の修練を通して精神力や体力を鍛錬し、逮捕術の向上も目指す。
 授業では伝統空手の基本稽古となる突きや蹴り、受けなどのほか「沖縄県空手道連盟普及形II」という形稽古なども取り入れる。授業の初年度となることしは、警察学校教官で全日本空手道選手権準優勝などの実績を誇る沖縄剛柔流空手六段の与儀実勝警部補が講師として指導に当たる。
 2011年現在、県警職員約2500人のうち、空手有段者は112人(女性5人)。各署など職場ごとにクラブ活動が盛んに行われている。村田本部長も県警就任後に空手を始め、職員らと稽古に励んでいる1人だ。
 県警教養課によると、県内の公務執行妨害事案は他府県の約2倍と多発傾向にあるという。そのため警察学校の授業での空手導入は、事件発生時の対処能力の向上につながると同時に、警察官自身の護身にも役立つと期待が寄せられている。
 教養課の玉城吉貴次席は「沖縄伝統空手は沖縄固有の武術で、身体的な強さだけを求めるのではなく『空手に先手なし』に集約される『守礼と平和の心』を尊ぶものだ。警察官になる人たちには空手を通じて、精神力を高めてもらいたい」と語った。
(佐々木健)