地域住民の支えに 県立南部・こども医療センター、出前講座が好評


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我那覇仁院長(左)の講話に聞き入る参加者=17日、南風原町のファミリーハウス「がじゅまるの家」

 県立南部医療センター・こども医療センター(我那覇仁院長)=南風原町=は昨年8月から、同町内に医師や看護師、技師らを派遣しての医療や健康に関する「出前講座」を始めている。地域に根差し、住民と触れ合う医療を目指した取り組み。5人以上の参加があれば町内のどこにでも職員を派遣して開催する。

発案者の我那覇院長は「地域に根差した病院でありたい。病院なら医師に聞きにくい質問でも、講座なら本音の話がしやすい」と意欲を見せている。
 出前講座はこれまでに保育園や公民館などで11回開催した。子どもの事故や緊急時の対応、予防接種、高齢者の転倒や床擦れの予防、生活習慣病に関することなど約70講座を用意しており、講師料などは一切不要。対象地域は同町内だが、実績を積みながら町外派遣も検討する。
 17日には病児と家族が利用するファミリーハウス「がじゅまるの家」で開かれ、我那覇院長が「こどもの発熱と解熱薬」と題して施設のスタッフら13人を前に講話した。我那覇院長は発熱原因の約90%がウイルスによる感染とした上で「発熱は感染に対する急性反応であり、過剰に恐れる必要はない」と述べた。心疾患や呼吸器疾患など基礎疾患の有無で、解熱薬を投与する目安が異なると説明し「基礎疾患がない場合、体温が38・5度以下では用いなくてもいいが、ある場合は38・5度以下でも投与を考えた方がいい」と助言した。3カ月未満の乳児のほか、40度以上の発熱、元気がない、水分摂取量が少ない、呼吸が速いなどの症状があれば注意が必要とした。
 同ハウスを運営するNPO法人こども医療支援わらびの会の儀間小夜子事務局長は「ハウスの利用者が体調を崩したとき、どう対応していいか戸惑うことがあったが、救急受診の目安が学べたので良かった」と感想を話した。
 出前講座の詳細と申し込み方法は同センターのホームページに掲載されている。