非婚不適用は憲法違反 所得税の寡婦控除


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 日本弁護士連合会(日弁連)はこのほど、婚姻届を出していない非婚の母親に所得税法上の「寡婦控除」が適用されないのは、憲法に反し人権侵害に当たるとする調査結果をまとめ、国や県、那覇市などに対し適用を求める要望書を提出した。

要望書について県の与世田兼稔副知事は20日までに、琉球新報の取材に対し「まずは問題点を把握し、不利益な事例をリストアップしてみる。その上で、県や地方自治体でできることはできるようにしたい」と話し、今後、県としても検討する考えを示した。
 寡婦控除は、夫と死別、離婚した母子世帯に適用される税法上の規定で、27万円(特定寡婦は35万円)の所得控除が受けられるが、結婚せずに子どもを産んだ母子世帯には適用されない。そのため、保育料や公営住宅、住民税、所得税、国保税などの算定で、死別・離婚の母子世帯に比べ、非婚の母子世帯は納税額が増え、保育料や家賃も高くなるなどの不利益が生じているという。
 日弁連は今回の要望書で、非婚の母親に寡婦控除が適用されないのは法の下の平等を定めた憲法14条に反すると指摘。子どもの視点からも「『自分の母の婚姻歴の有無』という子ども自身ではどうすることもできない属性によって、大きな不利益を受けており差別だ」としている。
 寡婦控除の適用をめぐっては、2009年11月に那覇市の女性ら3人が日弁連に人権救済を申し立てていた。申し立てを受け、日弁連が調査結果をまとめた。
 救済を申し立てた女性(48)=那覇市=は「憲法に違反し、著しい人権侵害だと法律の専門家が指摘した意義は大きい。収入が低い母子世帯に、税金を重くする差別的な制度や社会を許してはいけないと思う」と話した。
 認可保育園の保育料算定では、那覇市など6市町村が非婚の母子世帯に対し寡婦控除を「みなし適用」し、保育料を減免しているが、税金や就学援助などの算定には反映されていない。