日米に決断迫る オスプレイ撤回那覇市民大会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
27、28両日の東京要請行動に向けて弾みを付けた「オスプレイの配備撤回を求める那覇市民大会」=22日、那覇市民会館

超党派鮮明に東京行動へ
 27、28両日の東京要請行動の「前哨戦」(翁長雄志那覇市長)と位置付けられた「オスプレイの配備撤回を求める那覇市民大会」。日米安保を容認する立場で、県内の保守政界をリードする翁長市長だが、保守、革新の立場を超えて県民一丸となって超党派で結束する重要性を強調した。オスプレイ配備や米軍普天間飛行場の辺野古移設の推進など、日米両政府の高圧的な態度に、沖縄の怒りのマグマは限界に達しつつある。異議申し立ての建白書を携え、日本復帰後、最大規模となる首相への直接行動で、沖縄は日米両政府に「最終決断」を迫る。

 「県民大会は10万人余の県民が集まり成功したが、その3週間後にオスプレイは配備された。県議会や全市町村が結束して訴えても、日本政府は一顧だにしない」。22日夕、那覇市民会館で開かれた市民大会で翁長氏は、沖縄の民意を無視する政府に対して怒りをぶちまけた。

■地殻変動の象徴
 翁長氏は、自民党県連幹事長を務めていた1999年、県議会で普天間の「県内移設促進決議」の旗振り役となるなど、沖縄の基地負担を容認してきた。
 だが、辺野古移設に回帰した民主党政権の迷走に憤り、県外移設要求に方針を転換。日米安保のひずみを沖縄にだけ押し付ける構造があらわになったオスプレイ配備問題では、日米両政府の対応を「差別」「いじめ」と批判し、県民大会や東京要請行動の実現を主導。保革を超えて団結する沖縄社会の地殻変動を象徴する「共闘の中心人物」(革新系県議)となった。
 翁長氏は壇上で「沖縄は保守、革新が相対する時期ではない。県民の心を一つに頑張らないといけない」と話し、超党派による結束の重要性を強調した。

■沖縄の最後通告
 市民大会前日の21日、県民大会実行委は会合を開き、全市町村長や議長、県議団など総勢約150人が上京し、オスプレイの配備撤回や普天間の閉鎖・撤去、県内移設断念を求めて、東京要請行動を展開することを最終確認した。
 同委事務局長の玉城義和県議は「県民の怒りのマグマは噴き出す寸前だ」と指摘し、「民意を無視すれば、在沖米軍基地全ての全面閉鎖・撤去を要求する容易ならざる事態が起こる。政府は肝に銘じてもらいたい」と警告する。
 共同代表の喜納昌春県議会議長は「米軍基地問題をめぐる闘争史の集大成になる。政府の最高責任者がどう判断するのか、最終決断を迫りたい」と要請の意義を強調する。
 県民大会や市町村民大会で示された沖縄の民意を顧みない日米両政府。直接民主主義の最終手段となる首相への要請で、沖縄は政府に最後通告を突き付ける。(宮城征彦)