辺野喜分校が廃校 117年の歴史に幕


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廃校になる辺野喜分校=7日、国頭村辺野喜

 【国頭】児童不在で休校となっていた国頭村立佐手小学校辺野喜分校(棚原久校長)が本年度で廃校となることが決定した。1895年7月に辺野喜尋常小学校として設立され、地域とともに歴史を刻んできた学びやが117年の歴史に幕を閉じる。

 同村教育委員会によると、辺野喜分校は2009年3月に最後の卒業生を送り出した後は在校生がおらず休校状態となっていた。
 分校の校区となっていた辺野喜と宇嘉の両区は昨年までに区民総会などで、廃止を承認。同村教育委員会は1月、県教育委員会に「分校の廃止」を届け出し、廃校になることが決まった。
 本年度、辺野喜に転入してきた児童2人は現在、佐手小本校に通っている。
 佐手小によると、戦後の分校校区(辺野喜、宇嘉)の卒業生は約760人。棚原校長は「地域も決めたことで仕方ないことかもしれないが、寂しいことだ」と語った。
 字誌「辺野喜」によると、辺野喜校は沖縄戦終結後は佐手小に統合。1950年から辺野喜、宇嘉の両区民による辺野喜校復活を求める運動が盛り上がり、当時の村長宅襲撃事件や地域住民ら出資による「私立辺野喜校」設置などを経て、1954年に分校として開校式が行われるなど、波乱の歴史を歩んだ。
 廃校が決まった分校は体育館やプールといった設備も整っており、村が跡地利用計画を進めている。辺野喜区の新里和正区長(57)は「これまでいろんな歴史があった。今後は介護施設などとして、雇用が生まれるように活用できればいい」と期待を込めた。