貴重な原本 展示 蔡大鼎「伊計村遊草」など8史料


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「原本史料の魅力を観賞してほしい」と呼び掛ける図書館市史編さん室の職員=21日、うるま市立中央図書館

 【うるま】琉球王国時代に中国との外交を担った役人・蔡大鼎(さいたいてい)(伊計親雲上)が詠んだ漢詩を集めた漢詩集「伊計村遊草(いけいむらゆうそう)」(慶應義塾図書館蔵)など貴重な原本史料を紹介する展示会(うるま市教育委員会主催)が23日からうるま市立中央図書館で始まる。3月8日まで。入場無料。展示される原本史料8点はいずれも沖縄初公開。

 「伊計村遊草」は、久米村の士族である蔡大鼎が1849年、伊計村を訪ねた際に道中で詠んだ漢詩30首を収録している。19首は現在のうるま市で詠まれた。蔡大鼎が中国に渡った翌年の1861年に福州で刊行された。
 史料展ではそのほか、同教育委員会の調査で今年1月に確認された蔡大鼎撰の詩集「御詩和韻集(ぎょしわいんしゅう)」(山形県・市立米沢図書館蔵)なども展示される。
 同市教育委員会は本年度、一括交付金を活用した蔡大鼎「伊計村遊草」等調査研究事業を進めており、今回の史料展も一環の取り組み。調査は次年度も継続し、沖縄から他県に流出した史料の発掘に努める。
 担当するうるま市教委教育部の榮野川敦図書館主幹は「市民をはじめ多くの来場者に原本史料の魅力を観賞してほしい」と呼び掛けている。23日午後6時からは、都築晶子氏(龍谷大学教授)、高津孝氏(鹿児島大学教授)のフロア講演会がある。月曜日と28日は休館。