「屋取物語」18年ぶり上演 上平良川、苦難の歴史紹介


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畑作りの功労者としてヤギ1頭を贈られる高嶺清良(中央)=2月24日、うるま市民芸術劇場響ホール

 【うるま】うるま市民芸術劇場響ホールで2月24日に開かれた上平良川芸能祭(主催・同市教委、上平良川自治会)で、地域の成り立ちを題材にした創作劇・上平良川由来記「屋取(やーどぅい)物語」が18年ぶりに全編ウチナーグチで上演された。

出演や裏方で200人の区民が協力し、舞台小物まで細かく手作りし、感情豊かに演じた舞台に、満員の会場からは大きな拍手と称賛の声が上がった。
 屋取物語は1840年ごろに首里から3家族が同区に入植、苦難や努力の末に地域をつくり上げる物語。今回は劇団「創造」の又吉英仁さんがせりふ全てをウチナーグチにするなど再構成した。
 細部まで丁寧に描かれた畑や松の木、ソテツなどが当時の風景を再現。舞台上に本物のタウチー(闘鶏)やヤギも登場し、会場は驚きと笑いに包まれた。
 主人公の名嘉真朝英が息を引き取り、婚約者の思戸(うみとぅ)が悲しみに暮れる場面では、ハンカチで涙を拭う観客もいた。
 夫婦で芝居を見た島袋常雄さん(68)は「素晴らしい。久しぶりに感動した。上平良川のルーツが分かった。方言もとても上手だった」と上気した顔で語った。
 朝英を演じた玉川幸作さん(39)=看護師=は「みんなのおかげで成功した。友人の清良(せいりょう)に思いを託して死ぬ場面が一番の見せ場と思い、いろいろ工夫した」と話した。
 思戸役の兼島翔子さん(25)=県立芸大大学院=は「できていないところも多くあるが、地域の人と舞台に立つのは貴重な体験になった」と語った。
 上平良川公民館は屋取物語の映像を収めたDVDを予約販売する。問い合わせは同公民館(電話)098(973)3493。