命を守るため 奮闘 宮城・石巻赤十字病院の瑞慶覧医師


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【宮城県で仲村良太】災害時の基幹病院として、震災直後は1日最大1200人の患者が運び込まれた宮城県石巻市の石巻赤十字病院で、西原町出身の瑞慶覧努さん(39)が外科医師として奮闘している。震災当時は東北大学病院で勤務し、岩手県の被災地に派遣された経験を持つ。ストレスで胃潰瘍になった被災者の手術や凍傷の足を切断したことも。病院に泊まりっぱなしの生活。石巻赤十字病院は震災直後から絶えず満床の状態が続く。

「ここで働くのは大変だが、患者さんの方がもっと大変な思いをしている」と語り、しっかりと前を見詰めた。
 震災直後は、凍傷や重油などが混じった水を飲んだ「津波肺」が多く、他に運ばれてくるのは軽傷の患者か死者だった。
 2012年4月、岩手の被災地から石巻赤十字病院に赴任した。海から約4・5キロの内陸に面していた同病院は津波被害を逃れた。
 同病院は震災後、新館を建築して病床を50増やし、約450床となったが満床が続く。
 石巻市内には救急医療を担う市立病院もあったが、津波に襲われて破壊されたため、救急搬送の受け入れは震災前よりも増加。被災地の救急病院として、救急患者の大半を受け入れており、赤十字病院の地域に果たす役割は増すばかりだ。瑞慶覧さんは手術に追われるなど“命の最前線”で奔走している。
 震災からやがて2年を迎えるが、多忙な日々は変わらない。それでも「呼ばれるようにここ(赤十字病院)に来た。このまま東北に残って医療に携わりたい」と意志は固い。「病院での医療しかできないけど、手術の人など、少しでも患者を待たせないよう心掛けたい」と、真っすぐ患者と向き合っている。

真剣なまなざしで手術する瑞慶覧努医師=7日、宮城県石巻市
瑞慶覧努医師