激動の歴史、後世に 4年かけ「喜舎場誌」発刊


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村内で2番目の字誌となる「喜舎場誌」を発刊した編集委員ら=喜舎場公民館

 【北中城】北中城村喜舎場の「喜舎場誌」がこのほど発刊された。同村の字誌としては村荻道に続き2番目。資料や区民の証言などを基に同区の歴史を浮かび上がらせた。
 安里高治編集委員長(82)を中心に18人の編集委員が約4年かけて完成させた。

区の創設者として文献にも登場する喜舎場公の説話やグスク時代の遺跡、「おもろさうし」などから喜舎場の概要をまとめ、高齢世代の経験を次世代に継承しようと、移民や戦争体験の証言にもページを割いた。
 戦後、集落の一部は軍用地として接収され、米軍人の住居地域となった。1950年には米軍から集落全体の軍用地化を勧告されたものの、米国大統領宛てに陳情書を出すなど陳情を重ね、危機を逃れた出来事も記述。激動期の喜舎場の姿が描かれている。
 村芝居や獅子舞、棒術や20連覇を果たした村陸上競技大会など、活気に満ちた様子も写真や証言を通じて紹介。安里委員長は「若い世代が地域理解を深め、これからを生きる上での手助けになってほしい」と語った。
 471ページ。500部を発行しており、区民や村内の各自治会、学校などに配布する。

※注:安里高治編集委員長の「高」は旧字体