【沖縄】「ランドセルさん、12年間お疲れさま」。島袋恭(ゆき)さん(12)=沖縄市=のランドセルは、6歳上の姉悠(はるか)さん(18)が使っていたものだ。
切れかけの肩ひもやポケットには、祖母の高尾怜さん(69)がキルトで直した跡がある。恭さんは、姉との思い出と祖母の愛情が詰まったランドセルと一緒に21日、沖縄市立北美小学校を卒業した。
幼いころから仲が良かった2人姉妹。悠さんが高学年のころから、恭さんは「お姉ちゃんのランドセルを使いたい」と言っていたそうだ。それを聞いた悠さんは、「できるだけ丁寧にランドセルを使った」と話す。
恭さんが小学校に入学。4年生になるころには、ランドセルのふたの縁がぼろぼろになり、肩ひもが切れた。そのたびに「おばあちゃんがすぐに直してくれた」(恭さん)。高尾さんは「固い皮を縫うのは大変だった」と笑顔で振り返る。
つぎはぎのランドセルを見た友達に「貧乏だ」とからかわれることもあった。それでも、姉から受け継いだものだからと説明し、持ち続けた。最近は「大切に使ってすごいね」と声を掛けられることもあったという。
そのランドセルも恭さんの卒業で役割を終えた。高尾さんは「この経験で物を大切にする心が育ったのではないか」と目を細め、大学進学を目指し県外で勉強中の悠さんは「大切に使ってくれてありがとう」と恭さんへメッセージを送った。
恭さんは「ランドセルを背負うとお姉ちゃんが一緒にいるような気がしていた。そのランドセルを6年間持ち続けられたのはおばあちゃんのおかげ。みんなにありがとうと言いたい」と話し、ランドセルをそっとなでた。(銘苅つばき)
英文へ→Sisters use same school bag for 12 years with grandmother’s help