【アメリカ】68年ぶり再会 終戦直後、名護で交流


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68年ぶりの再会を果たした宜保榮治郎さん(右)と東江盛勇さん(フランク・東さん)=米ラスベガス

 組踊など伝統芸能研究の第一人者で元県立博物館館長の宜保榮治郎さん(79)と東江盛勇さん(94)=後にフランク・東と改名=がこのほど、68年ぶりに再会した。

宜保さんは1945年の沖縄戦で敵同士として戦った兄弟、東江盛勇さんと弟の康治さんとの遭遇に一役買った人物。
 宜保さんと盛勇さんは米ネバダ州ラスベガスで再会を果たした。それから2カ月後、宜保さんが盛勇さんに1通の手紙を送った。その内容には、68年前の状況や、終戦直後の沖縄の様子がありありと描かれている。
 当時、宜保さんは12歳。現在の名護市屋部で野生化した小豚を捕らえるため友人と追い掛けていたら、1台のジープが来て米軍の軍服を着た2世らしい人が名護の言葉で「いぇー、うまりかーに、名護んちゅや うらんなー(おい、この辺に名護の人はいないか)」と話し掛けてきた。
 榮治郎少年は名護くぅとぅばに親しみを覚え、いろんな人を伝って盛勇さんの弟の康治さんは名護岳の山中にいることを突き止めた。手紙は「米兵による沖縄の婦女子への暴行が頻繁に行われたことにしびれを切らした住民が米兵を袋たたきにした」ことなどにも触れ、今もって変わらない沖縄の現状を嘆いている。
 宜保さんは民族芸能の研究、評論活動などの功績が認められ、2006年に日本民謡協会の「民謡文化章」を受章、「エイサー沖縄の盆踊り」「組踊入門」など著書も数冊ある。元県文化財審議会長、沖縄大学教授などを歴任している。
 宜保さんと盛勇さんの再会を企画・実現にこぎ着けたのは前原利夫牧師とウチナーンチュロサンゼルス民間大使の上原民子さんだった。(当銘貞夫通信員)

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