土壌研究・蔵書2千冊寄贈 「松井文庫」を開設


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 【読谷】土壌研究の第一人者で知られる故・松井健さんの著書や自然科学系の蔵書約2千冊が1日、読谷村教育委員会に寄贈された。寄贈したのは松井さんの長女・竹田みどりさん(51)=神奈川県=と、松井さんの友人で環境調査会社を運営する中家恵二さん(61)=東京都。蔵書は村歴史民俗資料館内に「松井健文庫」を開設し、一部を展示している。

 松井さんは1947年に東京帝国大学理学部地質学科を卒業後、研究所や環境調査会社などに在籍しながら日本全国や世界各地を飛び回り、土壌分類を進めた。日本粘土学会や日本ペドロジー学会など学会設立に尽力し、2009年に84歳で亡くなった。
 松井さんと村は00年に土地分類調査を通して交流があり、竹田さんらが一括して蔵書を引き受けてくれる寄贈先を探していたところ、村教委が手を上げた。
 竹田さんは「文庫として設置してもらい、父も天国で感謝している。たくさんの人に役立てば光栄だ」と喜んだ。村教委の松田平次教育長は「大変うれしい。この文庫が刺激になって、土壌学や人類学の道に進む人が出てくればうれしい」と感謝した。
 村教委は民俗資料館と村立図書館を拡充した村情報センター(仮称)開所へ向け自然科学系の図書収集を進めている。今回の蔵書は土壌学や自然科学系が約千冊、学術雑誌が約500冊、その他が約500冊。分類をして随時公開する。

松井健さんの蔵書2千冊を読谷村教委に寄贈した長女竹田みどりさん(前列左から2人目)=読谷村文化センター
読谷村歴史民俗資料館内に開設した松井健文庫