県高校総合体育大会最終日は7日、読谷村陸上競技場でサッカーの男女決勝を行った。男子は前原が那覇を3―2で下し、36年ぶり4度目の優勝を飾った。女子は美里が名護に3―1で勝ち、3連覇を果たした。
▽男子決勝
前原
3―2(3―0,0―2)
那覇
▽女子決勝
美里
3―1(1―0,2―1)
名護
◆エースが本領、2得点
頼れるストライカーが決勝の大舞台に帰ってきた。男子は前原主将のFW田里駿が2得点でエースの本領を発揮し、チームに36年ぶりの栄冠をもたらした。「(県総体に)前原の名を刻むことができてうれしい」。第1シードと歴史の重圧から解き放たれ、笑顔がはじけた。
アンカーの前浜和道が4月に右膝を負傷したため、準決勝まで田里が代役を務めた。慣れない守備的なポジションに「チームへ迷惑を掛けた」。大事な決勝でのFW起用に「絶対に自分が決めて優勝させる」と気合が入った。
1点リードの前半22分。相手DFに前線からプレスをかけてボールを奪い、そのまま決めた。「スピードを生かして前からがんがん行くのが持ち味」という田里らしさの詰まった得点だった。
2得点目は同29分。MF安座間聖が中央でインターセプトすると、ゴール前の田里と目が合った。「(パスが)来ると思った」(田里)、「『くれ』という目だった」(安座間)。
誕生日が1日違いで、私生活も仲がいいという2人のアイコンタクトが決まると、グラウンダーのパスが田里の足元にぴたりと通る。トラップでGKをかわすとし右足で豪快に蹴り込んだ。
県新人大会を30年ぶりに制し、出場した2月の九州大会では決勝トーナメントに進めなかった。「九州、全国で沖縄旋風を巻き起こしたい」。冬の悔しさを夏に晴らす。(荒井良平)
◆反撃も届かず 1、2年主体の那覇
男子・那覇は前原に1点差まで迫りながら、追い付けなかった。
前半から前原にペースを握られ、3点を奪われた。しかし後半25分にはDF中原桜村がセットプレーのこぼれ球を決め1点目。ロスタイムにはFW大濱海斗が豪快なボレーシュートで2点目を挙げたが、反撃もここまでだった。
先発11人のうち9人が1、2年生。2年の大濱は「PKにもつれ込んででも勝ちたかった」と悔しさをにじませた。前原とともに出場する九州大会で、3年の中原は「前原よりも上に行く」と誓った。
◆女子美里3連覇/1年生の右足 熱戦に終止符
シーソーゲームにけりをつけたのは、1年生エースの右足だった。
昨年と同じく、美里と名護の顔合わせとなった女子決勝。美里の1点リードで迎えた後半30分、美里のFW仲井間未麗がダメ押しとなる3点目を決め、苦しみながらも3連覇を勝ち取った。
美里は序盤から、ゲームを支配しながらも点を決められずにいた。前半33分、MF伊集茜のコーナーキックが風で押し戻され、クロスバーをかすめてゴールイン。
「味方に合わせようと思ったけど、うまいこと入った」(伊集)という幸運な先制点を挙げ、前半を1―0で折り返す。
しかし後半に入ると、名護はサイド攻撃と激しいプレスでリズムをつくり始める。互いに1点ずつ奪う、一進一退の攻防が続いた。
今大会ワントップで起用され、準決勝まで5点を挙げた仲井間は、この試合では数回の決定機を外していた。「緊張で動きが硬かった」という。
しかし苦しむチームに「自分が何とかしたい」と気合を入れると、本来のスピード感あふれる姿を取り戻していく。
中盤でボールを拾うと自ら持ち込み、右足で決めた。貴重な3点目に「ようやくゴールが決められてよかった」とほっとした表情を浮かべた。
九州大会で2位以内に入れば、全国総体に出場できる。主将の新城舞は「攻撃も守備もまだまだ足りない。練習でできていることを試合に出せるようにしたい」と悲願の全国へレベルアップを誓った。(荒井良平)
◆2年連続準優勝 リベンジならず/名護
女子・名護はまたも美里に敗れ、2年連続準優勝。主将の平安山瑠衣は「もっとできたはずなのに。絶対リベンジしたかった」と悔しさを隠さなかった。
決勝はシステムを変更した。普段はセンターFWの平安山を右サイドに配し、左の新城亜実とともに攻撃の起点になった。
後半からは本来の中央に戻り、美里ゴールに迫った。同23分には同点弾をアシスト。試合を振り出しに戻したが、同25、30分と立て続けに点を奪われて突き放された。「あそこで点を取られてしまうのが自分たちの弱い部分」と唇をかんだ。
自身は冬の選手権まで部に残るつもりで「次に当たるまでにチームとして成長したい」と誓った。
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