読谷村、沖教組資料をデータ化 17年度公開へ作業開始


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 【読谷】読谷村は県教職員組合(沖教組)から寄贈を受けた資料約8万点のうち、本土復帰運動や戦後教育の歩みを記録した貴重資料を電子データに記録し一般公開するための作業を始めた。2017年度の公開を目指す。村史編集室の泉川良彦さん(59)は「沖教組は本土復帰運動の主翼を担った。運動の歴史を刻んだ資料が多くあり、時代背景がよく分かる。詳しく知りたい人がたどれるようにしたい」と意気込む。

 事業費は一括交付金943万円を含む約1200万円。村議会6月定例会で事業予算が承認された。
 村は現在、資料の分類作業を進めている。電子化するのは、図書を除き、組合が作成した総会議事録や手紙など。中には「愛の教具」の納品簿もある。愛の教具は、米軍統治下にあった1955年ごろ、校舎建築を目的に沖縄教職員会(現沖教組)が全国から寄付を集めたものの、米国民政府が寄付金を校舎建設に充てることを拒んだため、使途を変えて購入した教材のことだ。
 当時の資料の多くは変色や破れるなどの劣化が進むため、一般公開するためには電子化が必要と判断した。今後は資料をスキャンし、系統分類してパソコン上で閲覧できる仕組みを構築する。
 読谷村は、沖縄教職員会会長を務めた屋良朝苗氏が村出身だったことから、人手不足で資料の管理が難しくなった沖教組から2013年5月に資料の寄贈を受けた。
 村役場横に建設予定の新村立図書館に所蔵される予定だ。

校舎建築を目指した「沖縄戦災校舎復興後援会」へ寄付した学校の名簿(北海道・東北)(左)と1957年度総会議事録
電子化作業を前に分類が進む沖教組の貴重資料=20日、読谷村史編集室