クロマグロ、沖縄近海で産卵 資源管理を強化


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沖縄近海のクロマグロ仔魚の採集地点

 水産庁や県水産海洋技術センター(糸満市、大嶋洋行所長)などが2011~13年度に実施した太平洋クロマグロのふ化直後の仔魚(しぎょ)分布調査で、八重山諸島から沖縄本島周辺の海域が主要な産卵場になっていることが分かった。

日本海も主要な産卵場となっている。近年、北太平洋に生息するクロマグロの成魚が減少している中、各関係機関は調査結果を資源管理の強化につなげる考えだ。
 仔魚は、ふ化後20日未満で体長1センチ未満の個体。調査は県水産海洋技術センターのほか、水産総合研究センター、鹿児島県水産技術開発センターなどが南西諸島周辺と日本海で実施した。調査期間は各年度の5~9月で、3年間で計536尾を採集した。
 結果報告によれば、沖縄本島から八重山諸島を中心とした南西諸島のクロマグロの産卵期は4月下旬~7月上旬で、親魚は6歳以上が主体だった。一方、日本海では、主に3~5歳の親魚が6月下旬~7月に島根県の隠岐諸島から石川県の能登半島にかけて産卵した。
 調査は14年度も実施している。水産庁担当者は「資源管理のため、クロマグロがどこで産卵してどう動くかを把握する必要がある。今後は南西諸島で産まれた個体が日本海や太平洋にどう分布していくかも課題になる」と述べた。
 一方、県水産海洋技術センターでは、県内で水揚げされる親魚の年齢も調査している。担当者は「クロマグロは県内でも漁獲がある。資源管理のため水産庁や日本海洋技術センターが実施する調査には協力していきたい」と述べた。