ヤギ生産強化 JAが「振興協議会」発足


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県内生産者が飼育するヤギの体格などを競うおきなわ山羊品評会=2013年11月、糸満市の南部家畜セリ市場

 ヤギの生産振興に向けた取り組みが官民で進んでいる。県内の飼養頭数は長年減少傾向が続いていたが、生産者らによると近年は観光客を中心にヤギ料理の需要が高まっている。県はレシピ開発や品種改良などブランド化を進める。生産者の経営安定を目的に、12日には県内12の生産部会で組織する「JAおきなわ山羊生産振興協議会」(会長・仲里政和名護市勝山山羊生産組合長)が発足した。県も協議会の設立を機に、ヤギのさらなる生産振興に向け連携を強める構えだ。

 県畜産課の資料によると、2013年のヤギの県内飼養戸数は前年比10・1%減の1225戸、飼養頭数は7・2%減の7773頭となり、それぞれ本土復帰後で過去最低となった。現在、県内消費の約6割が海外産とされる。
 一方で08年から年間1500頭前後で推移していたと畜頭数は、12年には前年度比42・8%増の2117頭と急激に増加した。仲里会長によれば、観光客や県民の需要が高まっており、最近の競りのキロ単価も2、3年前より500円ほど高い約1500円で推移しているという。
 協議会委員らは6月に北部で設立準備委員会を開き、7~8月には県内各地の生産状況を視察するなどして準備を進めてきた。12日の設立総会で、新たな繁殖技術の開発やデータ収集による肉質向上を図ることや、役員の選任などを決めた。
 県は08年度からヤギの生産振興事業を開始し、産肉能力などが高いニュージーランドの品種の導入や、新たなレシピ開発などを進めている。琉球大学農学部は「ヤギを食べると高血圧になる」というイメージに対し、味付けに利用される塩が原因だとする研究結果も出している。
 仲里会長は「ヤギの需要は高まっているが、供給量が流動的になっている。安定生産体制を整え、臭いの課題などを品種改良により克服できれば、県内産の消費が拡大する」と話した。