オキナワパスタ輸出へ ボリビア・県系農牧組合


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 【ボリビアで梅田正覚】ボリビア入植から60年、干ばつなど苦境の中で農業を営んできた県系人が設立したコロニア沖縄農牧総合協同組合(CAICO、大田清隆組合長、組合員約120人)は、新たな事業展開に力を入れている。

従来の営農指導などに加え、近年は独自のパスタブランド「フィデオス オキナワ」を製造し6次産業にも参入している。1日約60トンを生産し、国内販売のほかペルーにも輸出する。ボリビア政府の農業生産増大政策を受けた近年の小麦や大豆の価格上昇を踏まえ、新たに穀物の貯蔵事業展開をにらんで貯蔵庫(サイロ)を次々新設し、将来は倍増近くに増設する計画だ。
 県系2世の大田組合長は「農地の拡大は限界を迎えているので、今後は貯蔵庫事業や加工業に力を入れていきたい」と強調した。
 CAICOは24ヘクタールの敷地内に、大豆や小麦の加工・製粉工場、種子選別・保管所を持つ。2011年には小麦の加工工場を建設、ショートパスタの製造を始めた。1時間に3トン製造できるイタリア製の製麺機を導入し「フィデオス オキナワ」を製造する。価格は1キロ1ドル(約104円)。
 ことし6月に工場機能の分社化を実施した。将来的にパスタなどの加工品を近隣諸国に販売することを目標とする。
 工場のほか1棟約1万5千トンの穀物が保管できるサイロ12棟があり、穀物の貯蔵事業展開に向けて将来的には20棟ほどにまで建設を目標に掲げている。
 貯蔵事業参入の背景は、小麦の収穫地と消費地の都市部が来年にも橋で結ばれ、サイロ需要の高まりが見込まれることがある。移住地近くを流れる大河「リオ・グランデ」の対岸に、移住地があるサンタクルス県内の小麦生産の7割以上を占める大収穫地がある。現在は橋がなく遠回りして都市部に輸送している。
 日本の反対側にある移住地では、4、5月ごろの夏季は大豆、8、9月ごろの冬季は小麦の栽培が盛ん。サンタクルス県の小麦の生産量は国内の2割を占める。組合員の農作物の作付面積は夏と冬ではそれぞれ3万1100ヘクタール、2万3400ヘクタールに上る。

独自のパスタ「フィデオス オキナワ」製造工場の工場長を務める県系3世の島袋誠さん=11日(日本時間12日)、コロニア・オキナワ
ボリビアの県系人が作ったオリジナルショートパスタ「フィデオス オキナワ」
県系人が設立したCAICO=11日(日本時間12日)、コロニア・オキナワ