LED、CO2で生育促進 県農業センター、光合成の最適条件研究


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CO2とLEDを使った栽培最適条件を探る実験

 県農業研究センターは、発光ダイオード(LED)や二酸化炭素(CO2)を用いて、ビニールハウスで栽培される野菜や花卉(かき)の生育を促進させる技術確立に昨年度から取り組んでいる。野菜が供給不足となる冬場の出荷量を増やし、農家の所得向上を担う。CO2とLEDを駆使し、より効率的に光合成が働く栽培の最適条件を探る。

 LEDは蛍光灯や白熱球よりもランニングコストが低減でき、成長に必要な波長だけを当てることができるので効率的な成長が期待できる。
 光合成の速度が光や時間帯など条件によってそれぞれ異なるため、LEDの赤や青などの色の組み合わせでさまざまなパターンで検証している。植物の成長に最適な波長に合わせて照射する条件を究明する。
 CO2を活用した技術の開発も並行して進める。品目や栽培体系に合わせ、CO2の供給量を調査する。
 従来の調査では、密閉式ビニールハウスの中で、ボイラーで二酸化炭素を発生させ、大きな扇風機で室内を一定濃度に維持していた。
 しかし、一定濃度の維持が難しくコスト面でも課題を抱えていた。
 そこで今回は、新たにCO2ボンベを設置し、配管でCO2を作物の近くまで持って行く。十分に摂取できるような設備の開発が進められている。
 県産農作物は県外産と比べ、10アール当たりの収量が少ないといわれる。市場関係者から「沖縄県産野菜をもっと入れてほしい」との声が上がっているが、一定供給できないという課題を抱えていた。
 植物の光合成が増えることで、収量増加が見込めるだけでなく、果実や葉などが大きくなり成長速度も速くなる。
 初年度はゴーヤーやトルコギキョウを中心に約5品目を対象にした。開発に携わる農業研究センターの谷合直樹研究員は「(事業終了の)2017年までにどこまで開発を進められるか未知数ではあるが、農家への技術普及を目標に努めたい」と話している。
(上江洲真梨子)