「アリバイづくりだ」 菅氏来県、上空視察に市民抗議


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上空から視察する菅官房長官に向け、怒りの拳を上げる市民ら=17日午後0時20分すぎ、名護市辺野古

 【辺野古問題取材班】菅義偉官房長官が17日、新基地建設が進む名護市辺野古沖をヘリコプターに乗って上空から視察した。だが、ヘリからの視察はわずか5分。海上や米軍キャンプ・シュワブゲート前で抗議行動を続ける市民らは、「ただのパフォーマンスだ」「一目見ただけで何が分かるのか」など怒りの声を上げた。

 「以前、武田良太防衛副大臣が視察した際、『反対運動もなく、作業が進んでいた』と発言し、悔しかった。今回はカヌー隊と連帯して菅を待ち受けよう。でたらめな発言は許さない」。午前10時すぎ、同ゲート前で平和運動センターの山城博治事務局長が市民ら約120人に呼び掛けると、大きな拍手が巻き起こった。
 その後、市民らは辺野古の浜に移動し、菅氏の視察を待ち構えた。午後0時20分すぎ、菅氏が搭乗したとみられるヘリコプターが飛来すると、市民らは「官房長官帰れ」など一斉にシュプレヒコールを上げた。海上では16艇のカヌー隊が抗議活動を展開した。
 船上での抗議に久々に参加したという宮坂亨さん(46)=長野県=は「ヘリで見下ろされていると感じた」とため息をついた。怒りの拳を上げ続けた安慶名つる子さん(67)=沖縄市=は「パフォーマンスだ。負けてはいられない」と気持ちを引き締めた。知念敏則さん(72)=南風原町=は「わじわじーを通り越してあきれる。アリバイづくりだ」と憤った。
 菅氏は仲井真弘多知事と会談後、宜野湾市のキャンプ瑞慶覧・西普天間住宅地区を視察した。普天間地域の学校に子どもが通う保護者2人も同行し普天間飛行場の早期返還を直訴した。
 そのうちの一人で中学3年の娘がいる村上ゆかりさん(50)は菅氏に「あの状況で勉強し、遊ぶことは子どもたちにとって危険なこと。危険除去を急いでもらいたい」と求めた。