ヘリ視察に市民怒り 防衛相“頭越し”に3分


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上空から視察する江渡聡徳防衛相に「ヘリを降りて、辺野古の現状を視察するべきだ」と訴える市民ら=23日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

 【辺野古問題取材班】来県中の江渡聡徳防衛相が乗った自衛隊のヘリは23日午後、名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前の上空を通過した。時間はわずか約3分。ゲート前で座り込む市民らは17日の菅義偉官房長官と同様、“頭越し”の視察に「基地建設の視察はやめろ」「政府のやり方に屈せず、沖縄のことは沖縄にいる人たちが決める」と怒りの声を上げた。

 基地建設に向けた海上での作業はなく、沖縄防衛局の巡視船や海上保安庁のボートも出なかった。カヌーでの抗議もなかった。ゲート前には家族連れや職場の同僚同士など最大90人が集まった。
 午後1時35分ごろ、北側からヘリが現れるとゲート前の道路沿いに並んだ市民らは上空を見上げて「アリバイ作りの視察だ」と抗議した。空にかざした基地建設反対を訴える横断幕を片付けながら「来ているのか、来ていないのかも分からない」「人のいない海を通っただけだ」と約3分間のヘリ視察にあきれた様子でつぶやいた。
 辺野古区からゲート前に通う金城武政さん(57)は「大臣は『きれいな海でした』と事実を言ってほしい」と話した。2歳のころから辺野古に住み、砂浜で野球をしたり、海につながる川で魚やエビを捕ったりして遊んだ辺野古の自然に触れ「こんなきれいな海を見たら、埋め立てはできないはずだ」と批判した。