「移設でなく撤去を」 沖国大ヘリ事故知る銘苅さん


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「辺野古移設は、単なる移設ではなく基地の強化だ」と訴える銘苅紹夫さん(右)とミツ子さん=25日、米軍キャンプ・シュワブのゲート前

 【辺野古問題取材班】名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では25日、普天間飛行場の辺野古移設に反対する市民らが朝から座り込み、抗議行動を展開した。新たにゲート前を訪れる人は後を絶たず、沖縄の現状を学ぼうと県外の学生も多数訪れた。

 2004年に起きた沖国大米軍ヘリ墜落事故の現場から、わずか100メートルの所で暮らす銘苅紹夫(つぎお)さん(69)、ミツ子さん(72)夫妻=宜野湾市=は初めてゲート前を訪れ、抗議行動に参加した。事故当時、家には嫁と0歳の孫がいた。駐車場に飛んできた長さ約20センチのヘリの破片は、木の枝をへし折り、車をへこませた。「異変に気付いた嫁は、孫を抱いて家の外に出た。そのタイミングが少しでも早かったら」―。紹夫さんは声を詰まらせる。
 普天間飛行場の危険性を最もよく知る一人として、紹夫さんは「基地の移設先が県内でも県外でも、そこで暮らす人が苦しむのは同じこと。移設ではなく、撤去が一番の望みだ」と強調する。ミツ子さんも「なかなかゲート前に来られなかったが、県民はみんな同じ気持ちだ」と訴えた。
 中央大学総合政策学部の目加田説子(もとこ)教授のゼミ生23人も、ゲート前で抗議行動に参加した後、辺野古漁港から抗議船に乗り、辺野古の海を体感した。笠(りゅう)愛華さん(22)=同大3年=は「色とりどりで豊かな海に基地や戦闘機は要らない。沖縄戦を経験し、命の大切さを伝える人が多くいる沖縄に、命を奪う基地の建設を許していいのか。基地問題を沖縄だけの問題にしてはいけない」と話した。