11月16日投開票の県知事選(10月30日告示)への出馬を表明している前那覇市長の翁長雄志氏(64)は21日、那覇市内のホテルで記者会見し、政策を発表した。米軍普天間飛行場の移設問題について「あらゆる手法を駆使して名護市辺野古に新基地は造らせない」と強調した上で「埋め立て承認の取り消しもあり得る」と明言し、承認の撤回も視野に臨むと訴えた。
東村高江の米軍ヘリパッド建設にも、配備撤回を訴えているオスプレイの使用が予定されているとして反対を表明した。
カジノには「沖縄らしい優しい社会の構築にそぐわない」と誘致反対を主張し、沖縄への原子力発電導入にも反対を表明した。
辺野古移設問題では、沖縄防衛局が県に提出した埋め立て工法の変更申請について「のめないということは十二分にあり得る」と述べ、承認しない可能性を示した。
基地問題の解決に向けた米ワシントンへの県駐在職員の配置や日米地位協定の抜本的な見直しも掲げた。
振興計画については沖縄21世紀ビジョンの実現を基調とし、経済政策ではダイナミックなアジア経済を取り込む「アジア経済戦略構想」の策定を打ち出した。国際的な交通・物流ネットワーク構築のほか、国際的海洋リゾートを目指し、クルーズ船の母港拠点化など港湾整備に取り組むとした。
格差の解消も掲げ、離島の生活・交通コスト低減に取り組み、教育機会の不均衡の是正を図ると主張。子どもの貧困対策を推進し、「子ども環境日本一の実現」を目指すと訴えた。県立病院の経営形態の維持と離島医療の強化などにも取り組む方針を示した。
再生可能エネルギーの導入推進や鉄軌道、LRT(次世代型路面電車)など「次世代型交通ネットワークの構築」も掲げた。環太平洋連携協定(TPP)に反対することも盛り込んだ。
<会見一問一答>
―高江ヘリパッド建設や那覇軍港移設の賛否は。
「ヘリパッドはオスプレイの配備撤回を求めている中で連動し反対する。軍港の浦添移設は以前に浦添市長が受け入れを明言し、移設協定が結ばれ、それを尊重して今の状況がある」
―辺野古移設反対であらゆる手法を取るとは。
「知事選に勝利しノーという県民意思を日米両政府に示す。承認に法的な瑕疵(かし)があれば取り消し、瑕疵がない場合は撤回という方法がある。『あらゆる手法』の中に入っている」
「(県環境部の認識は)昨年11月時点では環境面で大変厳しいというものだった。法的な瑕疵があることはあり得る。その場合、取り消しができる」
―移設問題の具体策は。
「基地は沖縄が求めたものではない。沖縄に70年も放置しておいて動かそうという時に、県外にはノーという権利があって沖縄にはないのか。移設先を沖縄が探すべきだという発想が違うのではないか。日本全体でどこに置くべきか、ぜひ考えてもらいたいと沖縄は堂々と主張する」
―仲井真県政の評価は。
「経済振興での努力など一定評価している。その部分は引き継ぎ、発展させていきたい。4年前、選対本部長として全力を尽くしたが、県外移設が重要な要素だった。知事の『固定化は政治の堕落』という発言に本気度を感じ身震いしたが、振興策と埋め立て承認をリンクさせたとみられたことの罪は大きい。子孫が誇りを持つ沖縄の原点が崩された感じがして残念だ」