辺野古美謝川 地下水路4倍1022メートルに 防衛局工法変更


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中央付近の大きな岩の手前、基地内を抜けて大浦湾に注ぐ美謝川の河口=8月18日(毎日新聞ヘリから空撮)

 名護市辺野古への普天間飛行場移設工事の設計概要一部変更のため、公有水面埋立法に基づき沖縄防衛局が県に提出した変更申請書の美謝(みじゃ)川切り替え計画で、地下水路(暗渠(あんきょ))の区域が現行の240メートルから1022メートルに延びたことが24日までに分かった。

評価書の現行案に対し、2012年の知事意見では下流に生息する生物への影響を指摘、「自然豊かな多様性の創出が十分できるとは言い難い」として再検討を促していた。
 識者は「埋め立てにより、河口が地下水路になる時点で無謀過ぎるが、地下水路が長くなればなるほどさらに魚類などの生息域は減る」と環境への影響を指摘した。
 美謝川はその河口のキャンプ・シュワブ沿岸にラグーン(潟湖(せきこ))を作り、陸域からの土砂の海域拡散を防いでいる。河川が運ぶ養分はシュワブ沿岸の大浦湾で冬場には7メートルに達するマジリモクや、コモチハナガササンゴの広大な花畑を育み、絶滅危惧種ジュゴンの餌となる海草藻場を育てる。これら美謝川の河口とその沿岸は全て埋め立てられる予定だ。
 地下水路をつくる理由については変更申請書などにも示されていないが、辺野古ダムから流れる水を海上に流すためとみられる。
 美謝川切り替えなど4項目の変更申請書提出を受けた県土木建築部は、変更内容に関し、環境部に意見を照会している。環境部は提出期限の31日を前に方法書や評価書などに記載された切り替え案や知事意見を精査中だ。評価書案以上に環境への負荷が大きいとみられる変更申請案に対し、厳しい意見が付くこともあり得るという。
 防衛局は9月の記者説明会で、変更理由として「埋め立て工事について環境保全に配慮しつつ、より効率的かつ着実に進めるための方策を事業に反映させる」としていた。
 キャンプ・シュワブ内の美謝川水路掘削予定地などの周辺には調査が終わっていない5件の埋蔵文化財が分布し、防衛局と名護市教育委員会との協議が難航していることから、県教育庁はこのほど防衛局に対し協議を求める異例の勧告を出した。移設計画に遅れが出る可能性もあり、防衛局が協議中の箇所以外の工事を先に進めるものとみられている。(石井恭子、清水柚里)