美謝川代替 国、地下水路に照明 識者「環境保全できぬ」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄防衛局が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けて提出した埋め立てに関する工法の変更申請で、県の承認可否判断に関して焦点となっている美謝川の水路切り替え工事について、防衛局が暗渠(あんきょ)(地下水路)内に太陽光の代わりとして照明や発光性光ファイバーの設置を検討している。

一方、有識者は「自然環境に代わる効果は期待できない」として照明の有効性を疑問視している。
 防衛局は、埋め立て予定地に隣接する米軍キャンプ・シュワブ内を流れる美謝川の水路切り替え工事で、暗渠の長さを1022メートルに変更する工法を申請した。昨年3月の埋め立て申請時の計画から約4倍となる。
 暗渠の延長で太陽光の届かない部分が増え、美謝川下流域と大浦湾を行き来する回遊魚への影響が懸念されている。防衛局は本紙の質問に対し目的を明らかにしてないが、照明設置には生態系への影響を抑える狙いがあるとみられる。
 だが、辺野古の環境影響評価手続きを見てきた世界自然保護基金(WWF)ジャパン元主任の花輪伸一氏は「暗渠に照明を設置しても人工的環境にすぎず、むしろいびつだ。河川には自然光に適応する生物が生息しており、環境保全としては意味をなさない。批判をかわすためとしか思えない」と批判する。
 一方、魚類に詳しい立原一憲琉球大理学部准教授は「自然河川の河口を暗渠にする計画自体が駄目だということに尽きる」と指摘し、環境面への影響は避けられないとの見方を示した。