辺野古新基地作業再開 市民抗議、海保が囲む


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新基地建設に抗議するカヌー隊の周りを警戒する海上保安官=19日午後、名護市辺野古沖

 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古への新基地建設に反対する翁長雄志さんが知事選で勝利してから、わずか3日。米軍キャンプ・シュワブ沿岸部で19日、沖縄防衛局は浮桟橋を再設置するなど海上作業を再開した。市民は陸と海から抗議し「民意を踏みにじるな」などと声を上げた。2カ月ほど静かだった現場は一転して緊迫感が漂い始めた。

 作業現場ではひっきりなしに重機が動いた。浮桟橋の設置作業が進み、傍らにはフロートがびっしりと並べられた。作業に合わせて市民らもカヌー13艇と小型船3隻に乗り海上で抗議。海には浮桟橋を守るように海上保安庁のゴムボート7隻が周囲を警備し、現場から遠ざかるよう求めた。
 冷たい風に吹かれ、波に揺られ、海保のゴムボートに囲まれながら、市民は「辺野古埋立阻止」「海保の市民運動介入反対」とプラカードを手に抗議した。
 乗船したヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は「知事選で示された沖縄の民意を聞きなさい。小笠原諸島のサンゴと同じように、われわれも大浦湾の環境を守りたいだけだ」と叫んだ。
 11月の海は水温が冷たくカヌー隊の体温を奪った。佐々木弘文さん(38)は「海に落ちたら寒かった。だが、仲井真さんが知事の間にいろいろやるだろう」と気を引き締め、月内開始が見込まれる大型スパット台船によるボーリング調査を警戒した。
 ゲート前では、市民ら約50人が座り込むなどして車両の進入を一時阻止。警察や警備員らが市民を排除したため騒然とした。午前午後を含め、少なくともトラック9台が基地内に資材を運んだ。
 座り込みに参加した仲里正弘さん(65)=南風原町=は「(約10万票の)差が開いた知事選の結果に対し強制排除するなんて日本は民主主義国家ではない」と批判した。屋嘉道子さん(62)=那覇市=は「ここには多くの県外の人が来てくれている。それぞれの地域で沖縄の問題を広げてほしい」と切実に訴えた。