辺野古“仮設岸壁” 「実質的埋め立てだ」


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 全長約300メートル、約2万立方メートル、10トントラック4千台もの砕石で埋め立てる“仮設岸壁”が国の岩礁破砕申請書に記載されていたことが20日明らかになった。

25日にも工事が行われる見通しが分かった20日、環境に詳しい識者からは「沖縄防衛局は科学を踏みにじっている」「県も傍観者であり怠慢だ」と批判の声が上がった。名護市辺野古で座り込みをしているキャンプ・シュワブゲート前からも激しい憤りの声が上がった。
 4千人の研究者を有する日本生態学会など国内19の自然研究団体は連名で11日、防衛局の辺野古環境影響評価(アセスメント)再実施を求める要請書を国や県に提出していた。日本自然保護協会保護部門主任の安部真理子さんは19団体の連名という異例の規模の要請に触れ、「多くの科学者の研究成果を踏みにじる行為だ」と厳しく批判。県に対しても「監視する役割を担うべきだが傍観しているにすぎない。怠慢だ」と指摘した。計画については「岸壁はかなり大きく、周辺で大型のマジリモクや希少種の生息も確認されている。海流の変化も予想され、科学的な情報を科学者に諮るべきだ」と強調した。
 沖縄環境ネットワークの真喜志好一さんは米軍普天間飛行場への米軍機オスプレイの配備計画でも、日米両政府が直前まで伏せていたことを指摘しつつ「今回も後出しじゃんけんだ。埋め立て承認願書が未成熟だったと言っているようなものだ。埋め立て承認撤回、取り消しの根拠になる」と強調した。
 山城博治平和運動センター議長は「『仮設』は軽微なものではなく、実際には埋め立ての一部になる。仮設の名を借り環境影響評価をくぐり抜けているが先行埋め立てだ」と憤った。ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は「仲井真県政の中で国の施策に協力的な発想になっていた県職員の姿勢や発想を変えることも必要だ」と話した。
 大浦湾の海上で抗議するカヌー隊の女性(55)=宜野湾市=は「知事選で辺野古ノーを突き付けたにもかかわらず民意が踏みにじられる。沖縄には人権が認められていないのではないか」と力を込めた。