沖縄防衛局は27日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設計画をめぐり、9月上旬に県に提出していた埋め立て工事に関する工法の変更申請4件のうち、移設先に流れる美謝川の水路切り替えルートの変更の1件を取り下げた。
同日午前、県北部土木事務所に取り下げの通知書を提出した。防衛局は新基地建設に反対する名護市との協議を避け、工法変更の承認を県から得て作業を進める方針だったが、県の審査終了を待たず3カ月弱で申請を取り下げた。
一方、県は取り下げの文書に不備があるとして、防衛局に再提出を求めた。
美謝川の切り替えルートの変更では暗渠(あんきょ)(地下水路)部分が約千メートルと当初計画の約4倍に延長され、生物などへの影響を懸念する声が上がり、県も過去の環境影響評価との「整合性に疑問がある」などと指摘していた。
防衛局は今後(1)美謝川上流の辺野古ダムを管理する名護市との協議が必要な元の計画に戻し、ダム占用の市の同意を得る(2)別計画で県に申請する―ことのいずれかが求められそうだ。だが稲嶺進名護市長や次期知事の翁長雄志氏も移設に反対しており、同意や承認を得る見通しは立っておらず、移設計画全体に影響が出る可能性もある。
一方、県土建部は仮設道路新設、土砂運搬方法の変更、中仕切り護岸の新設―の残り3件の変更申請に対する環境部の意見を、防衛局に28日にも3次質問として提出する考え。
美謝川の取り下げについて防衛局は「今後どのような案にするかは現段階で答えられない」と説明した。
取り下げに関して翁長氏は27日、記者団に「新基地は造らせないという気持ちを持っている」などと述べた。