越来グスク、地域が誇れる場 シンポで活用策探る


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越来グスクの文化的価値を生かす街づくりについて意見を出し合った登壇者たち=11月27日、沖縄市文化センター

 【沖縄】シンポジウム「越来グスクをどう生かす?」が11月27日、沖縄市文化センターで開かれた。約50人が参加した。越来グスクに関する資料館の建設や、周辺の街歩きツアーの充実といった具体的な案を挙げながら、グスクを地域の誇りとして街づくりに活用する可能性を話し合った。

 越来グスクはコザ十字路の北西約200メートルの場所に位置する。第一尚氏・第6代王の尚泰久や第二尚氏の尚宣威らが居城していたといわれるが、石垣を含め遺構がほとんど残っていない。元県立博物館長・當眞嗣一さんは「越来グスクには普遍的な価値はあるが、それを証明する文化遺産がなくなった」と世界遺産の登録に至らなかった背景を解説した。
 琉球王国時代に首里と政治的な関わりがあった越来グスクを現代にどう生かすかを登壇者が議論する中で、市立郷土博物館の比嘉清和さんは「地下を掘れば、越来グスクの実情に迫るものが出てくる」と可能性を指摘した。
 これまで行った3度の発掘調査などで13世紀以降の勾玉(まがたま)や鏡、権威を示す装飾品、青磁器などが多く見つかったことを紹介した。
 自身も子どものころはグスクの存在を知らなかったという地元・越来自治会の當山全克会長は、近年、越来小学校や地域で取り組んだ創作劇「越来城と白椿」や学校内の資料館の活用に言及し、「越来グスクを地域全体で誇れる場所にしたい」と意気込んだ。
 地域で開催する越来城下町まつりで展示や出し物に取り組むことや、グスクの地に資料館を建設することなどを提案した。