ミツル商会、台湾経由で中古車輸出 新航路で比国へ


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 琉球海運(山城博美社長)の台湾・高雄航路を活用して県内の解体業者のミツル商会(沖縄市、金城満代表)が5日、中古トラックをフィリピンへ輸出する。6月の台湾航路開設後、初の事例となる。

従来は大阪を経由して輸出していたが、沖縄から直接の輸出で運賃は4割減、輸送日数もほぼ半減する。金城代表は「今回の航路を開いてもらって、輸出は伸びていくのではないか」と新航路の活用に意気込みを示した。沖縄から東南アジア向け輸出で、新たな海運ルートの構築として注目される。
 東南アジアの大型ハブ(中継拠点)港である台湾・高雄に航路開設した琉球海運は、高雄港を拠点に東南アジアへの展開を模索してきた。同社の船はコンテナ船ではなく、車両を自走させて船に積み込むRORO(ロールオン・ロールオフ)船で輸送する。高雄からは、本土と海外を不定期で結ぶ東興海運(本社・神戸市)のRORO船につなぎ、香港を経由してフィリピンに輸送する。
 輸出するのは10トンダンプ車と米軍払い下げの消防車両それぞれ1台ずつ。ダンプ車の荷台には、トレーラーをけん引するトラクターヘッドから荷台部分を切り離した車体部分3台を搭載して運ぶ。
 5日に那覇を出港し、7日に高雄、9日に香港で、フィリピンのスービック港には11日到着の予定。ミツル商会によると、大阪を経由した従来の輸送だと10日から2週間かかっていたという。
 ミツル商会は約19年、車の部品輸出などを手掛けており、車の丸ごと輸出には輸送経費がかさむ課題があった。現在は輸出の7割がマレーシアだが、大阪経由では運賃が高く、顧客から断られるケースも多かったという。
 新規航路開設に携わった琉球海運の担当者は「今回の新航路がうまく接続できれば、物流の流れもいい方向に変わっていくのではないか。物量が増えればさらにコストも抑える交渉もでき、顧客のビジネスの幅も広がっていく」と話した。
 通関業務を担当する沖縄港運の担当者も「沖縄から中古車を輸出したいニーズは他にもあったが、これまで輸送ルートがなかなか構築されていなかった。これを機会に、販路拡大に向けた航路が確立されていけばいい」と今後の展開に期待を示した。(滝本匠)

琉球海運の台湾航路を活用してフィリピンに輸出されるダンプ車(左)と米軍払い下げ消防車=2日、那覇新港