西表固有シダが危機 世界遺産候補委、外来種除去訴える


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 第1回奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会琉球ワーキンググループが11日、那覇市内で開かれた。学識者や行政関係者ら22人が自然遺産候補地のやんばる(国頭郡3村)と西表島の保全管理計画などを議論した。

委員報告により、西表島(竹富町)星立の天然保護区域の湿地に群生する絶滅危急種ミミモチシダが、最近の研究から西表固有の新種であることが分かり、その群生が繁茂力の強い侵略的外来種アメリカハマグルマに覆われている現状が報告された。アメリカハマグルマは西表島全体で増加しており、早急な除去対策の必要性が訴えられた。
 琉球大学教授の横田昌嗣委員によるとミミモチシダの群生する星立の湿地には土地改良事業計画があり、消滅も危惧されるという。
 やんばると西表島の自然環境保全の課題と取り組みが報告され、希少種保護について来訪者増加に伴う交通事故や密猟・盗掘による被害増加を懸念し、外来種の侵入・定着増加の可能性など多くの課題が挙がった。やんばるでは一般村民の関心が低く、特に第1次産業者の中で遺産登録による損失の方が大きく捉えられており「住民参加による合意形成の仕組みづくりが必要だ」とされた。
 ワーキンググループは科学委員会の下に設置され、環境の保全管理に必要な科学的助言を得るための議論の場として、奄美と沖縄に設置された。