辺野古阻止へ加速 知事、今月から具体的作業


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 翁長雄志知事は新年から米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設阻止に向けた具体的作業に着手する。前知事による辺野古埋め立て承認の経緯を検証する専門家チームを今月設置し、審査過程に法的な瑕疵(かし)がなかったかを精査する。

政府に移設中止を訴える考えも示しているほか、4月以降に訪米して米政府にも直接働き掛ける意向。関連して県の米ワシントン事務所も開設する方針だ。
 埋め立て承認の検証作業では、1月中旬にも桜井国俊沖大名誉教授ら環境問題の専門家や法曹家によるチームを設置する。県議会与党からは「国は6月には埋め立て工事に着手する方針だ。作業は急ぐ必要がある」と指摘する声もある。
 ただ専門家チームの位置付けはまだはっきりせず、事務方も知事の考えを図りあぐねている。県幹部は「県の一組織として設置するのは難しい。知事の私的諮問機関のような形がいいだろう」と語るが、別の幹部は「私的諮問機関では権限が不明確だ。設置要項を設け、権限を明確化した方がいい」と主張。組織の在り方も焦点となっている。
 移設問題をめぐる安倍晋三首相や菅義偉官房長官らとの直接交渉もこれからだ。昨年末に翁長知事が就任後初めて上京した際、山口俊一沖縄担当相以外の閣僚は会談に応じず、移設を容認していた仲井真弘多前知事に対する対応との落差が際立った。沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる菅氏は来県を検討する考えを示しており、翁長知事との初会談が注目される。
 一方、翁長知事は沖縄の民意を米国内で広く伝えるためワシントンへの職員駐在を計画。「訪米を効果的に実施できるよう情報収集、分析が必要」として4月以降に予定する訪米の前にも実現させたい考えだ。県庁内では「一定の人脈と経験を有した人物になるだろうが、県職員では難しいのではないか」との見方もあり、外部の専門家らに委嘱する可能性も指摘されている。