辺野古抗議テント 設置めぐり混乱続く


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テント等設置禁止の看板を設置した沖縄総合事務局北部国道事務所職員ら=26日午後6時半ごろ、名護市辺野古

 【辺野古問題取材班】沖縄防衛局が米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設を進める名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前に市民が設置したテントをめぐり26日夕、沖縄総合事務局北部国道事務所職員ら40人ほどが現場を訪れ、テント等設置禁止の看板10個を設置した。午後5時前、市民らに口頭で即時撤去を指導して帰ったと思われた直後、職員や作業員が午後6時すぎに突然現れ、市民らを警戒させた。

大城純一副所長は「自主的な撤去を再三指導しており、引き続き求めていく」と説明した。指導の次の段階に当たる監督処分(除却命令)については「場合によってはある」との認識を示した。また「看板の設置状況を確認する」などとして国道事務所は同日夜から、職員によるテント前の15分ごとの巡回を開始した。
 総合事務局のこれまでの説明によると、道路法71条に基づく監督処分に従わない場合、行政手続法の代執行により強制撤去が可能となる。大城副所長は代執行について「そこまでは考えていない」と述べるにとどめた。突然の看板設置は「昨日いろいろあったので動員をかけただけで、脅しをかけたわけではない」と釈明した。国道事務所は25日夜、道路管理だとして突然緑地帯に柵を設置し、市民と衝突した後に撤去していた。
 夜間待機が始まった1カ月ほど前からゲート前に設置したテントについて、国道事務所の撤去指導期限が26日だったことから、市民らは同日朝から一部解体を開始、ゲートから国道329号を渡った向かい側の緑地帯に1基のテントを新設、荷物を移動した。既設テントを撤去し、小規模化と場所の移動で決着を図ろうと、沖縄平和運動センターの山城博治議長は国道事務所と朝から断続的に交渉を続けたが、決裂した。市民が緑地帯に自衛の柵を造る事態ともなった。
 東京都から訪れた大学生の植田千晶さん(19)は国道事務所の対応が「あまりに不誠実だ」と憤る。「沖縄の民意は知事選や衆院選などの選挙で示されている。諦めずにやっていくしかない」と話した。
 大勢の作業員を突然送り込んだ国道事務所の対応を「子どもじみていて恥ずかしい」と批判した恩納村の仲西美佐子さん(65)は「暴力で訴えるのは相手と変わらない。どう対抗すればいいか悩むが、座り込みという非暴力の行動以外にない」と力を込めた。