辺野古の市民テント、強制撤去も 政府検討、県警を動員


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 米軍普天間飛行場の移設計画に反対する市民らが名護市辺野古のキャンプ・シュワブ前に設営したテントの撤去を国が求めている件で、政府は市民らがテントの撤去に応じなければ県警を動員して強制撤去に踏み切ることを検討していることが27日、分かった。首相官邸の国土交通省への指示を受け、北部国道事務所は26日から24時間態勢で市民運動を監視している。

 沖縄総合事務局開発建設労働組合(仲里孝之委員長)は27日、河合正保沖縄総合事務局長と小平田浩司開発建設部長に、24時間監視態勢の解除を求める異例の申し入れを行った。
 テントの撤去に関しては、今月上旬来沖した米国防総省高官が移設作業の進捗(しんちょく)状況を視察した際、「抗議活動など課題がある」としてフェンス沿いのテントを問題視。米軍が日本政府に対し早期撤去を求めていた。
 これを受け、政府高官が国交省幹部に対し、歩道の通行妨害に当たるほか、米軍施設の保安維持上、問題があるとしてテントの撤去を指示した。
 北部国道事務所は国交省の指示を受け、19日にテントの撤去を要求。撤去期限の26日になっても撤去しないことから同日夜から24時間の監視態勢に入った。
 沖縄総合事務局開発建設労働組合の申入書では「『道路管理者』としての対応を超えた過剰な警戒対応」とした。その上で「開発建設部の多くの職員を動員し、県民同士の対立をあおるような行為は、県民の安全・安心を守る役割を担う行政機関として異常な事態だ」と批判した。
 さらに「県民の一人でもある職員の思いも無視した、辺野古への座り込みへの弾圧は、総合事務局がこれまで果たしてきた役割自体が否定される」と強調。派遣された職員については「気持ちとは裏腹の罵声を浴びせられている」として心身ともに負担が重いことを指摘した。