辺野古工事の歯止め模索 県、権限洗い出し


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 県は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設阻止を掲げる翁長雄志知事の公約実現に向け、知事権限の洗い出しを進めている。前知事の辺野古埋め立て承認を検証する有識者の「第三者委員会」が知事に結論を報告するのは7月の予定だが、政府は県の中断要請にもかかわらず移設に向けた海上作業を進めていることから、政府の作業に歯止めをかけるためのさまざまな対抗手段についての検討を急ぐ。

 移設阻止に関する知事権限について安慶田光男副知事は13日、政府の埋め立て申請の審査に関わった土木建築部や環境部などに対し、さらなる具体策の検討を指示した。
 県は埋め立て承認の検証作業のほか、サンゴ損傷問題を受けて岩礁破砕許可の取り消しなども検討している。このほか、沖縄防衛局が海底ボーリング調査で使用するため近く設置すると説明している「仮設桟橋」の用途に関して、県への工法変更申請が必要かどうかの確認作業も進めている。
 埋め立て承認を受けて防衛局が設置した環境監視等検討委員会なども対象に精査する考えだ。このほか漁業保護などを担う農林水産部や、基地問題を担当する知事公室、第三者委を所管する総務部、文化財保護に当たる教育庁などがそれぞれの分野で権限の洗い出しを進める。
 県は10日から辺野古沖で進む防衛局の海上作業の状況を直接把握するため、職員の常時派遣も開始しており、政府の海上作業などに関する情報収集や分析なども強化する構え。移設阻止の知事権限を行使した場合、政府との間で訴訟に発展する可能性なども想定し、弁護士ら専門家の助言も踏まえて対抗措置を具体的に検討している。