防衛局、辺野古掘削を延長へ 本体着工も遅れ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄防衛局は米軍普天間飛行場の名護市辺野古沿岸部への移設計画に伴う海底ボーリング調査で、今月31日までとしていた履行期間を3カ月程度延長する方針を固めた。昨年の知事選や衆院選などへの影響を避けるため作業を見合わせたほか、水深の深い場所の掘削調査作業は天候に影響されやすいため、延長は不可避と判断した。

政府が7月ごろに着工を目指していた本体工事の開始時期も秋以降にずれ込む公算が高くなった。
 中谷元・防衛相は3日の衆院予算委員会で「夏には(本体工事に)着手したい」と答弁していた。
 ボーリング調査がずれ込んでいるだけでなく、調査に使用するとしている仮設桟橋の設置工事も未着手。
 さらに本体工事着手前の実施設計に関する県と防衛局の事前協議は、美謝川の切り替え水路や土砂運搬方法の変更などでも必要となるとみられ、難航も予想される。
 一方、ボーリング調査終了前に県が「許可区域外での岩礁破砕行為が行われている」などとして岩礁破砕許可を取り消せば、防衛局は調査実施の根拠を失うことになる。国が調査を中止するかは不透明だが、中止しなければ県が裁判所に仮処分を申請するなど訴訟に発展する可能性もある。
 民間業者との調査契約期限を見直すことになり、大型台船の借り上げ延長などで契約額が超過すれば、調整が必要となりそうだ。
 防衛局は調査結果を基に実施設計をまとめ、できるだけ早く中仕切り岸壁工事に着手する方針だが、許可区域外での岩礁破砕の有無について県の調査を認めないまま作業を継続すれば世論の反発をさらに強める可能性がある。