防衛省「返還遅れに直結」 辺野古不服文書判明


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 米軍普天間飛行場の移設計画をめぐり、翁長雄志知事が名護市辺野古の海底作業停止を求めた指示を不服として、防衛省が農林水産省に申し立てた不服審査請求書と、知事の指示の効力停止を求める執行停止申立書の内容が26日、明らかになった。

照屋寛徳衆院議員(社民)の資料請求に防衛省が応じた。申立書は、知事の指示でボーリング調査などが止まれば「普天間の返還遅れに直結し、周辺住民が騒音にさらされ続けることになる」などと主張している。不服請求の適格性や知事指示の違法性も指摘した。
 翁長知事は辺野古移設阻止を掲げて昨年の知事選で当選し、新基地建設阻止を県政運営の柱に据えている。今回は沖縄防衛局のブロック設置作業によって県の許可区域外でサンゴが損傷された可能性が高いとして、現場海域を調査するため作業の停止を求めた。
 これに対し防衛省は、移設計画への反対は普天間の危険性除去の遅れにつながるとの論理を展開したが、翁長知事の当選など移設反対候補が勝利している一連の選挙結果などの民意については考慮しない姿勢をあらためて示した格好。
 移設事業の遅れは「日米の信頼関係に回復困難なほど悪影響が及ぶ可能性がある」とも主張。辺野古移設について普天間の継続使用と危険性の除去のための「唯一の解決策」とあらためて強調し、事業の遅れによる住民の騒音被害などは重大だとして、米国との関係悪化や返還遅れの可能性について、県側の責任を問う姿勢を示している。不服審査請求書には6ページの理由書と161ページの資料を添付。執行停止申立書は8ページの理由書と242ページの資料が添付された。井上一徳沖縄防衛局長名。