奄美でも環境破壊、土砂採取が影響 辺野古シンポ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
環境省の職員(手前)に聞き取りをする日本自然保護協会の会員ら=14日、衆院第1議員会館

 【東京】日本自然保護協会(亀山章理事長)は14日、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画に向けた工事手法などを考える「辺野古の海を守る緊急シンポジウム」を衆院第1議員会館で開いた。

シンポジウムでは移設作業が環境に与える影響や、埋め立て土砂が採取される奄美大島で環境破壊が進んでいる現状などが報告された。
 シンポジウムで同協会の安部真理子さんは、大浦湾の自然環境について「藻場や砂場などが大きな一つのセットをつくり、微妙なバランスで良好な状態をとっている」と述べ、防衛省が進めてきた作業のずさんさを指摘。「埋め立ては、直接埋め立て地に生息する生き物だけではなく、周辺環境にも影響を及ぼす」と訴えた。自然と文化を守る奄美会議の原井一郎副代表は、辺野古埋め立てに使うとみられる土砂の採取で奄美大島の海に赤土が流れ込む様子を写真で紹介し、移設計画に連動する形で自然環境が破壊される問題を訴えた。
 日本自然保護協会の亀山理事長は「わが国の自然保護問題だけではなく、世界の自然保護問題として捉える必要がある。一国の防衛問題とは次元の異なる重要なものだ」と自然環境保護の重要性を訴えた。
 シンポジウムでは環境省職員を招き、埋め立て事業の問題点についての聞き取りもあった。同省担当者は「環境保全は環境影響評価を含めて、防衛省で行われるべきものだ」と述べるにとどめ、環境破壊が進んでいることへの見解はほとんどなかった。