稲嶺元知事、辺野古容認条件「消えた」 政府根拠を疑問視


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普天間飛行場の返還・移設問題に関し、国民全体へ広げる必要性を強調する稲嶺恵一元知事=24日、浦添市のりゅうせき本社

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を1999年に知事として容認した稲嶺恵一氏(81)が24日、浦添市で琉球新報の取材に応じた。99年当時に自らや名護市長だった岸本建男氏が辺野古移設を容認したことを政府が現在も地元同意の根拠に挙げていることについて、稲嶺氏は容認の条件だった使用期限や軍民共用は「消えてしまっている」と指摘。問題解決には「どう国民全体に理解を広げるかだ」と述べ、日米両政府への訴えや全国メディアを通して国民全体に問題意識の共有を働き掛ける必要性を訴えた。

 政府が99年に地元合意を得たと主張していることに対し、翁長雄志知事は17日に行われた安倍晋三首相との会談で使用期限や軍民共用化などの前提条件が崩れていると指摘していた。
 稲嶺氏は、99年に辺野古移設容認の前提条件の使用期限などについて「あれからそういう話はされていない。自然に消えてしまった」と指摘。ただし「政府との間で(地元の要望に関し)『話し合いを継続する』との確認書を出している。(99年の知事と名護市長の同意が)法的に無効になったかは全面的に否定するわけにはいかない」とも述べた。
 昨年の名護市長選や知事選、衆院選で辺野古移設に反対する候補が全員勝利したことなどに触れ「県内の客観情勢が全く違う。沖縄だけが基地を過重に負担するのはおかしいとの世論を国民全体として盛り上げていかない限り、現実的に物事は進まない」と主張した。
 国民全体への理解の拡大へ向け「(沖縄の)内部ではお互いに対立しないでほしい」と要望した。翁長県政の与野党で対立が続いている状況には「将来はできるだけまとまっていくことが必要だ」と沖縄全体でまとまって、声を全国へ広げる必要性を提言した。