岩礁破砕 県、審査請求見送る 独自調査の作業優先


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 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、海上作業の一時停止を沖縄防衛局に求めた県の指示の効力を林芳正農相が一時停止した件について、県は27日までに、この措置を国地方係争処理委員会に審査請求することを見送った。

一方で県は今月22日、指示の有効性を主張する「弁明書」を農相に提出している。県幹部は「(既に提出した)弁明書に対する防衛局の反論も予想され、その場合、再弁明が必要になる。その手続きに集中したい」と説明した。
 地方自治体は国の措置に不服がある場合、措置から30日以内ならば国地方係争処理委員会に審査請求できる。県は停止指示の効力を回復する手段の一つとして、審査請求の利用を検討していた。
 県は3月23日、防衛局が県の岩礁破砕許可区域の外でサンゴ礁を破壊した可能性が高いとして、県が実態調査するまでの間、海上作業を停止するよう防衛局に指示した。一方、防衛局は不服を申し立て、林農相が同月30日、県の指示の効力を「一時停止」した。現在、農相は指示そのものの有効性を審査している。
 県はこの実態調査のために米軍の臨時制限区域での潜水調査を求めているが、米軍の同意が得られていない。県幹部は「臨時制限区域での独自調査が最も重要なので、その作業を優先させる」と述べ、審査請求見送りの理由を説明した。