県内従業員不払い残業「ある」1割 沖縄県調査


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月間の最多賃金不払い残業時間の平均

 沖縄県内事業所で働く従業員の約1割が労働基準法違反に該当する賃金が支払われない残業を経験していることが従業員のサンプルを抽出した県の労働環境実態調査で分かった。最新の県労働力調査(2月)に基づいて計算すると、県内従業員約56万4千人のうち約6万人が経験している換算だ。賃金不払い残業があった割合が最も高い業種は「学術研究など」17・1%、次いで「教育・学習支援業」17・0%、「医療・福祉」14・3%と続く。県内事業所は全国に比べて長時間労働が多くなっており、さらに賃金が支払われない違法状態が一定の割合で存在している現状が浮かび上がった。

 労働環境実態調査は昨年9月から10月、県内の1万3576事業所を対象に実施し、2537事業所から回答を得た。賃金不払い残業については、各事業所から従業員数人を抽出して全体の約100分の1に当たる5471人から回答を得た。
 従業員のうちサービス残業(賃金不払い残業)が「あった」と答えたのは10・7%、「なかった」と答えたのは83・2%。6・1%は無回答だった。
 事業所の規模別で賃金不払い残業の経験者の割合をまとめると従業員300人未満~100人以上の事業所は16・7%、100人未満~30人以上の事業所は15・6%で平均より割合が高かった。
 従業員の回答をまとめると、最も多かった1カ月の賃金不払い残業は全業種平均で21・4時間だった。業種別では「情報通信業」が43・3時間と最も多く、「建設業」で38・8時間、「宿泊・飲食サービス業」が38・0時間、「学術研究など」が34・4時間の順だった。(古堅一樹)