「オール福島」で沖縄と連帯 新基地阻止へ郡山に会発足


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沖縄・福島連帯する郡山の会を発足した役員ら=4月25日、福島県郡山市(同会提供)

 2011年に発生した東京電力福島第1原子力発電所事故の影響を受け、現在も放射能汚染に苦しむ福島県郡山市でこのほど、保革を超えて名護市辺野古への新基地建設阻止を訴える組織が発足した。

名称は「沖縄・福島連帯する郡山の会」で自民党に所属していた佐藤栄佐久元福島県知事(75)や植田英一元自民党福島県連幹事長(89)も相談役として名を連ねている。同会によると、福島県内で辺野古の新基地反対に取り組む組織の発足は初めて。
 経済県都と呼ばれ約33万人が住む郡山市には、原発に近い地域から約8千人が避難しており、仮設住宅や借り上げ住宅が残る。福島第1原発から約60キロ離れているが放射線量が高い地域もあり、一般住宅の約4割の除染作業が完了していないという。
 会の発足は吉川一男共同代表(74)=郡山市、NPO理事=が1月、名護市辺野古を訪れたのがきっかけだ。政府が海上保安官を大量投入し、基地建設を強行する様子を目の当たりにし、沖縄で起きていることを共有しようと提案した。吉川さんが声を掛け、会社員や主婦、高校教員など幅広い職業の市民が共同代表となった。吉川さんは「沖縄と連帯する動きが福島全体に広がってほしい。政府から原発事故被害の犠牲を強いられる私たちと米軍基地の犠牲を強いられる沖縄は同じように抑圧に立ち向かっている」と力を込めた。
 郡山市では保革を超え「オール福島」で原発廃炉を訴える動きが出ている。同会に佐藤さんや植田さんが名前を連ねるのは、沖縄の基地問題と同様に保革を超えて取り組む狙いがある。植田さんは「沖縄は戦争で本土の犠牲になり、70年基地を押し付けられた。さらに新しい基地を造るのは通らない」とした上で、「沖縄の人の苦しみを自分のものとして共に立ち上がりたい」と力を込めた。佐藤さんは知事就任前の参院議員時代、原発政策を推進したが同会相談役を引き受けた。
 会は16日、辺野古問題をテーマにした講演会、6月にはドキュメンタリー映画「圧殺の海―沖縄・辺野古」の上映会を市内で開催する予定で、写真展の開催や沖縄訪問も検討している。問い合わせは同会事務局(文化村おもだか内)(電話)024(941)6301。(明真南斗)