辺野古進展に懸念 米議会調査局、政治環境変化を指摘


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 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米議会調査局はこのほど、安倍晋三首相の訪米を前にまとめた日米関係の報告書で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について「沖縄の政治環境が移設を計画通り進めることを難しくする可能性がある」と日本政府による県内移設が計画通り進まないとの見通しを示した。

 報告書は昨年11月の知事選、名護市長選、衆院選を挙げ「2014年に実施された全ての主要選挙で、県内移設に反対する候補が勝利した」と県内の政治環境を指摘した。「13年に移設に向けた主要な障害を克服したにもかかわらず、地元の多くの政治家や活動家は米軍再編計画に反対している」とし、仲井真弘多前知事による埋め立て承認後も県内に根強い移設反対の民意があると分析した。
 翁長雄志知事が3月にボーリング調査などの作業中止を要請したことを挙げ「知事の(移設反対の)スタンスが市民運動を奮い立たせている」と指摘し、住民らによる抗議活動や反対の声がかつてないほど高まりを見せているとした。
 一方で「専門家のほとんどが新基地建設中止の法的権限は知事や市長の権限を越えるものとみている」との見方も紹介した。知事らの権限行使を拒否する安倍政権により移設計画は進むとしたが、移設作業が遅れる可能性があると分析した。
 移設計画が失敗した場合は、米側に「日本の政治システムが困難な作業を遂行することができないと印象付ける」との見方を伝えた。
 一方、辺野古移設で「日米両政府が強硬な手段を取れば、反基地活動が激しくなるリスクが残されている」とも指摘した。
 報告書は4月23日に米議会に提出された。