防衛相冒頭発言要旨


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どう考えても辺野古唯一

 沖縄はわが国の安全保障上、大変重要な地域である。長年、米軍施政下にあり、県内に米軍基地・施設が集中し、県民に大きな負担を掛けていることを非常に重く受け取っている。

 A2ADという言葉がある。これは接近を阻止する、また領域に入ってくることを拒否するという言葉だ。沖縄は周辺国から見て、大陸から太平洋にアクセスする上においても、また太平洋から大陸にアクセスを拒否するにしても、戦略的目標となる大変重要な場所だ。最近、中国による南西海域での活動が活発化しており、スクランブル(緊急発進)の回数や中国公船の尖閣諸島に対する領海侵入が増加している。米国も「リバランス(再均衡)」としてアジア太平洋方面に力を入れている。周辺国、日本、米国のいずれにとっても沖縄は戦略的に極めて重要な位置に存在する。
 自衛隊においても特に南西方面において、態勢を強化する。沖縄における米軍の存在というのは、自衛隊の持っている抑止力と対処力を補完・強化する存在で不可欠なものであると認識している。
 沖縄の負担軽減においては、米国とも協議した上で、実現可能なものから着実に実施している。先日の2プラス2(日米外務・防衛担当閣僚会合)においても、沖縄の基地負担の軽減を米側に要請し、米側の方も負担軽減に対するコミットメント(約束)が示された。だが、やはり政府は国民の命を守り、暮らしを守るという安全保障の責務を負っている一方、抑止力を維持しなければいけない。
 そこで普天間基地の問題だ。沖縄における米軍基地の中でも特に市街地の真ん中にあり、また住宅や学校が密接する普天間基地の危険性除去は重要な問題で、普天間基地を固定化させないということは、政府も沖縄も共通の認識ではないかと思っている。
 私も2001、02年に防衛庁長官をし、辺野古への移設決定に関わった一人で、さまざまな経緯があったが、どう考えても普天間を辺野古に移設するというのは唯一の解決策であると私は確信している。一日も早い普天間基地の返還に向けて、全力をもって安全に留意をしつつ、移設を進めていきたいと考えている。
 最後に自衛隊の態勢について。南西の島しょの態勢強化として、沿岸監視部隊と警備部隊の配置を計画している。与那国島に配備する沿岸監視部隊については、今年度の新編に向けて施設整備を進めている。先島諸島では、宮古島市から調査に着手しており、警備部隊配置に向け、その具体化の検討を行っている。
 このほか、那覇港湾施設の浦添への移設や嘉手納以南の基地返還の早期実現など、多くの案件がある。県の皆さんと協議をしていかなければならないが、わが国の安全保障と沖縄県の発展に関わることだ。今後も協議をさせていただき、話し合いが実を結ぶように努力してまいりたい。